松秀寺は港区白金に位置する時宗の寺院である。白金の地は江戸時代、松平家など大名の下屋敷が置かれた高台の閑静な地域として知られていた。時宗は鎌倉時代に一遍上人(1239-1289)が創始した宗派で、踊り念仏(踊り念仏)を通じて全国各地に阿弥陀仏への信仰を広めたことで知られる。一遍は定住せず全国を行脚しながら念仏を広める「遊行」の精神を体現し、その教えは「捨て聖」と呼ばれる彼の無執着の生き方に象徴される。江戸時代には遊行上人が諸国を巡錫するたびに各地の寺院や信者を訪ね歩く慣行が続けられ、庶民の間での信仰を支えた。松秀寺は時宗の末寺として白金の地に根を下ろし、大名の下屋敷が集まる静謐な環境の中で庶民…