正覚院は江戸時代初期に創建されたと伝わる真言宗の寺院である。創建の正確な年代や開山の詳細は明らかでないが、徳川幕府が江戸の都市整備を進めた17世紀前半に、現在の港区東麻布の地に草創されたとされる。真言密教を宗旨とし、弘法大師空海を宗祖と仰ぐ寺院として、護摩祈祷などの密教修法が代々受け継がれてきた。江戸期には増上寺を中心とする浄土宗寺院群が芝周辺に集積する一方、真言宗寺院もこの地域に点在し、江戸の多様な宗教地図の一端を担った。明治時代の神仏分離令や廃仏毀釈の波を経ながらも、正覚院は法灯を絶やすことなく維持されたと伝わる。近代以降も地域の信仰の場として機能し、現在は四国八十八ヶ所霊場のお砂踏み行事…