那智の滝は古代より滝そのものが神体として崇拝されてきた。神武天皇が熊野に上陸した際にこの滝を神と感じて崇めたのが信仰の始まりと伝わる。仁徳天皇の御代(4〜5世紀頃)に滝の傍らに社殿が設けられたとも伝えられる。7世紀初頭には修験道の祖・役行者(えんのぎょうじゃ)がこの地で修行したとされ、熊野修験の霊地として広く知られるようになった。平安時代には熊野信仰が貴族社会に浸透し、上皇・法皇による「熊野御幸」が盛んに行われるなかで那智の滝は熊野那智大社の御神体として広く尊崇された。中世には武家の信仰も集め、熊野那智大社と青岸渡寺が習合する神仏混淆の形態が定着した。明治元年(1868年)の神仏分離令により神…