染王寺は神奈川県横浜市金沢区野島町に所在する寺院で、野島山の中腹に位置する。創建年代は明らかでないが、野島一帯は中世より金沢北条氏の勢力圏にあり、同氏ゆかりの寺社が周辺に数多く営まれた地域であることから、染王寺もその歴史的背景のなかで創建されたと伝わる。野島は江戸時代以前より景勝地として知られ、近世には「金沢八景」のひとつ「野島夕照」として広く認知されるようになった。江戸時代には文人・墨客が金沢八景を訪れ、歌川広重らによって浮世絵に描かれるなど、野島の風景は全国的な名声を得た。染王寺はこうした景勝地の一角として、地域住民の信仰を集める場であり続けたとされる。明治以降の近代化の波のなかでも寺院と…