龍谷寺は台東区東上野五丁目に位置する曹洞宗の寺院で、道元禅師が開いた只管打坐の禅の教えを伝えてきた。「龍谷」とは龍が棲む谷、すなわち禅の修行によって力強い覚者(龍)が育まれる場所を意味する。龍は仏法の力と悟りの象徴として禅宗でしばしば用いられる縁起の良い霊獣である。東上野五丁目は上野駅の北西側、アメ横に隣接する下町の一角で、江戸時代から上野山下の商人・職人が集住する活気ある地区として栄えた。明治以降は繊維・雑貨の問屋が集積し、戦後はアメ横市場として知られる国際的な商業地に変貌した。龍谷寺はこうした東上野の変遷の中で、地域住民の葬儀・法事を担う曹洞宗の菩提寺として機能してきた。現在も東上野の下町…