西福寺は岬町淡輪に位置する浄土真宗本願寺派の寺院である。「西福」という寺号は「西方極楽浄土の福徳」を意味し、阿弥陀仏の誓願に帰依する浄土真宗の精神を寺名に端的に表している。浄土真宗は親鸞聖人(1173〜1262)が開き、悪人正機説(悪人こそ阿弥陀仏の救済の正しき対象)などの独自思想で旧仏教の修行至上主義を転換させた。蓮如上人(1415〜1499)の時代に急速に勢力を拡大し、泉南地方でも漁師・農民・廻船業者らが浄土真宗に帰依するようになった。淡輪は古代の海人族の土地柄を受け継ぐ港町であり、西福寺は海に生きる人々の死後の往生を願う信仰の場として地域に定着し、江戸時代以降は寺請制度のもとで地域住民の…