安国寺は1345年(貞和元年)、室町幕府の初代将軍・足利尊氏とその弟直義が、南北朝の争乱で命を落とした人々の菩提を弔い、国家安泰を祈願するために全国六十余か所に建立した安国寺の一つとして創建された。下野における安国寺は、奈良時代に道鏡が建立したとされる古代の下野薬師寺の跡地に隣接する地に設けられ、古代仏教の法灯を受け継ぐ役割も担ったとされる。南北朝から室町時代にかけて、地域の祈願所として機能した。近世には真言宗の寺院として法脈が整えられ、現在に至るまでその宗派を継承している。境内には南北朝時代の石造物が現存しており、中世の政治権力と仏教の関係を今日に伝える貴重な遺構となっている。古代寺院の遺跡…