下野薬師寺は680年(天武天皇9年)頃、天武天皇の勅願により創建されたと伝わる古代官寺である。奈良時代には東国における仏教の中心的寺院として栄え、761年(天平宝字5年)には奈良・東大寺、筑紫・観世音寺とともに三戒壇の一つに指定された。戒壇とは僧侶が正式な受戒を行う場であり、鑑真和上もこの地を訪れたと伝えられる。平安時代以降、律令体制の弛緩とともに寺院は次第に衰退し、中世を経て伽藍の大半は失われた。近世には後継寺院として安国寺が隣接地に建立され、法灯を今日まで伝えている。近代以降、遺跡としての学術的価値が認識され、発掘調査が進められた。現在は国指定史跡として整備・保存され、礎石や土壇が当時の伽…