曹洞宗は道元禅師が「只管打坐」を核とした禅の修行を体系化した宗派で、大本山を永平寺(福井)と總持寺(横浜)に置く。「東雲(しののめ)」とは夜明け前の空が東の方から白み始める刻、またはその淡い光を指す古語であり、暗闇から光へ、迷いから悟りへという禅の精神的転換を美しく体現した寺号である。成瀬は小田急線・JR横浜線沿線の地区で、戦後の高度経済成長期以降に農地が宅地化されて形成された比較的新しい住宅地である。その農村期から菩提寺として機能していたと伝わる本院は、新旧住民が入れ混じる成瀬の地域コミュニティの精神的な核として、葬送・法要・坐禅会を担ってきた。「東雲」の名が示す清冽な夜明けの精神を、現代の…