高野山真言宗は弘法大師空海が816年(弘仁7年)に開いた高野山(和歌山県)を総本山とする真言密教の宗派で、現在全国に約3,600の寺院を擁する。室泉寺は渋谷区東のこうした真言密教の流れを受け継ぐ寺院で、「室(静かな修行の場)の泉」という名のとおり、密教修行の場としての霊的清浄さを体現している。渋谷の台地は江戸時代に農村的な景観が広がり、後に市街地化した地区であるが、こうした住宅地の中に高野山真言宗の道場が根付いたのは、明治以降の都市住民の密教信仰需要に応えたものと考えられる。現在も真言密教の護摩供・写経などの法儀を継承し、地域住民の信仰を集めている。