正念寺は大阪市天王寺区上本町に位置する浄土宗の寺院である。上本町一帯は四天王寺(推古天皇元年・593年創建と伝わる)の門前地域にあたり、古代から仏教信仰が根付いてきた。浄土宗の開祖・法然上人は比叡山で修行ののち、承安5年(1175年)に専修念仏の教えを確立し、念仏による万人救済の道を開いた。法然の弟子や後継者たちが各地に寺院を開き、正念寺もこうした流れのなかで大坂に根付いたと考えられる。寺名「正念」は仏教の八正道の一つ「正念」(正しい念い)に由来し、念仏に専念することの大切さを示す。江戸時代には大坂市中の寺院として檀家制度のもと地域住民の菩提を弔い、明治以降は近代化の波のなかにあっても法灯を守…