大安寺は港区西麻布に位置する曹洞宗の寺院である。西麻布は麻布の武家地の中でも比較的静かな地域として江戸時代から位置づけられ、現在も閑静な住宅街としての雰囲気を保っている。曹洞宗は道元禅師(1200-1253)と瑩山禅師(1264-1325)によって確立・普及された禅宗の一派であり、本山は永平寺(福井県)と總持寺(横浜市)の二か所に置く。只管打坐を実践の核心とするこの宗派は、坐禅修行を通じた精神的覚醒を重んじるとともに、一般民衆の葬儀・先祖供養をも広く担ってきたことが特徴である。鎌倉時代の武士社会への普及を足がかりに、江戸時代には農村・庶民の間にも曹洞宗の末寺が多数設立され、葬祭仏教の担い手とし…