白河は江東区の中央部に位置し、江戸時代には老中・松平定信(1758–1829)が「寛政の改革」を主導した白河藩と縁の深い地名で、江戸の文化・行政との結びつきが強い地区であった。冝雲寺はこの地に臨済宗妙心寺派の禅院として建立された。臨済宗は栄西(1141–1215)が宋から伝えた禅宗の一派で、公案(禅問答)を用いた激烈な修行によって悟りを目指す。妙心寺派は臨済宗最大の法流で、京都・妙心寺を本山とし全国に約3,400の末寺を持つ。深川・清澄に隣接する白河地区は近世には商家・武家屋敷が混在しており、冝雲寺はそうした地域の武家や町人の帰依を受けながら法灯を守り続けた。近代以降も座禅会や写経会を通じて禅…