愛知県名古屋市緑区作の山町に鎮座する稲荷神社。御祭神は五穀豊穣・商売繁昌を司る**倉稲魂命(うかのみたまのみこと)**を主神とし、猿田彦命・大国主命・事代主命を配祀する。名鉄鳴海駅南方の小丘・作の山(旧称・朝日山)の中腹に位置し、嘉永4年(1851年)に京都・伏見稲荷大社から御霊を勧請して創建された。境内で最も目を引く御神木は「**藤龍(ふじりゅう)**」と呼ばれる野生の藤の古木で、数百年をかけて自然に龍が天へ昇る姿へと生長した全国的にも珍しい神木である。一般的な稲荷神社に見られる狐像ではなく狛犬が置かれる点も独特で、独自の神気を放つ。当地・緑区は永禄3年(1560年)5月の**桶狭間の戦い**の舞台となった歴史の地であり、作の山周辺は信長が今川軍を急襲すべく南東へ駆け抜けた進軍路にあたるとも伝わる。
豊藤稲荷神社の起源は奈良朝時代初期から当地に伝わる「豊藤大明神」への信仰に遡るとされ、作の山には古くから小社が営まれてきたという。幕末の嘉永4年(1851年)、京都・伏見稲荷大社から正式に御分霊を迎えて社殿を整え、現在の社格が確立された。明治維新後の神仏分離の波にも耐え、地域の産土神として緑区周辺の人々の暮らしを長く守ってきた。御神木「藤龍」は人の手が加わることなく百年以上の歳月をかけて自然に龍の姿へと育った野生の藤の古木で、開運・諸願成就の御利益があるとして近郷近在から参拝者が訪れる。大国主命・事代主命を配祀することから縁結びや事業成就を祈る人々の信仰も篤い。当地一帯は永禄3年(1560年)…