東京都町田市野津田町3424に位置する高野山真言宗(別当:華厳院)の薬師堂で、正式名称は「普光山福王寺薬師堂(ふこうさんふくおうじやくしどう)」。本尊は「木造薬師如来坐像(秘仏)」で、日光菩薩・月光菩薩、十二神将の計15体が安置される。薬師如来像は**町田市最古の木彫仏像**として、昭和62年(1987年)に町田市指定有形文化財に指定されている。本尊は「秘仏(ひぶつ)」として厳重に秘蔵され、12年に1度・寅年の4月1日〜5月5日の期間にのみ公開される(直近の開帳は2022年)。現在の堂は明治16年(1883年)に再建されたもので、天井には江戸時代の画家・狩野信矩(かのうのぶのり)による天井画が現存する。境内には福王寺旧園地(薬師池公園全体)として平成10年(1998年)に東京都指定名勝文化財に指定された環境が広がる。
野津田薬師堂の草創については、天平年間(729〜749年)に名僧・行基菩薩(ぎょうきぼさつ・668〜749年)が当地を訪れ薬師如来像を自ら彫刻して安置し、堂宇を開基したと伝える。行基は聖武天皇の命のもと奈良の東大寺(大仏殿)建立を主導した高僧で、全国各地で社会事業・橋梁建設・寺院建立を行ったことで知られる。その後、年代不詳の兵火(新田義貞の軍勢による兵火とも伝わる)によって堂宇は焼失し、本尊は現在地(野津田町字暖沢)へ遷移した。元亀4年(1576年)には僧・興満(こうまん)が荒廃した薬師堂を再興した。江戸時代を通じて地域の信仰を集め続け、現在の堂宇は明治16年(1883年)に再建されたものであ…