**椿(つばき)**は茶花の代名詞だ。特に冬の終わりから春先にかけての茶席では、一輪の椿が床の間を支配する。色は白・紅・絞り・雪白椿と多様で、蕾がほんのり開きかけている段階が好まれる。
**朝顔(あさがお)**は夏の茶花として最も有名だ。利休は朝顔の茶事で一面に咲いた庭の朝顔をすべて摘み取り、床の間にただ一輪だけ活けたという逸話が伝わる。これこそ「野にあるように」の実践であり、引き算の美学の極致だ。
**紫陽花(あじさい)**は梅雨の代名詞。一枝を粗く活けるだけで、茶室に雨の気配が満ちる。額紫陽花(がくあじさい)は野趣があり特に茶花向きで、湯揚げで水揚げするのが基本だ。
**芒(すすき)**は秋の茶花の王者。一本の穂が揺れるだけで茶室に秋風が吹き込む。萩(はぎ)と組み合わせることも多く、月見の茶事には不可欠だ。
**白玉椿(しらたまつばき)**は冬の茶花の最高峰。純白の小ぶりな花が冬の静寂を床の間に降り積もらせる。侘び茶の精神に最も合致した花とされ、利休も最上の茶花として挙げたといわれる。
ただし禁花は流派・時代・茶人によって見解が異なる。厳格なルールというより、茶席の「場の読み方」として理解するのが適切だ。
建仁寺(京都・東山)の塔頭・両足院では毎年、半夏生(はんげしょう)の庭が公開される。白く色づいた葉が「野にある姿」そのものを見せてくれる。