大黒天はもともとインド神話のマハーカーラ(シヴァ神の忿怒相)を起源とする仏教の神格です。一方、大国主命は日本神話に登場する国土経営・縁結びの神です。室町時代以降、「大黒(だいこく)」と「大国(おおくに)」の音の近さから両者が同一視される習合が進み、現在では財福・五穀豊穣・縁結びを兼ね備えた神として信仰されています。
正月の三が日から七草(1月7日)の間に巡るのが最も一般的な習わしです。ただし、大黒天の縁日である甲子の日(60日に一度)も参拝に適した日とされています。時期を問わず、各霊場を静かに巡ることに変わりはありません。
「日本三大大黒天」は公式な宗教機関が認定したものではなく、民間の信仰の中で自然に語り継がれてきた呼称です。そのため諸説あり、松ヶ崎大黒天(京都)・芝大黒天(東京)・常磐大黒天(いわき)の三社が最も広く引用されますが、地域によって異なる三社を挙げることもあります。
大黒天信仰には複数の系統があり、単一の「総本山」は存在しません。天台宗では比叡山延暦寺が最澄が祀った起源地として特別な位置を占めます。真言宗では各本山寺院が独自に大黒天を祀っています。七福神信仰としては特定の宗派に帰属せず、神道・仏教を超えた民間信仰として広がっているため、一つの総本山を定めることが難しい神格です。