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破魔矢と熊手——新年の縁起物が持つ魔除けと招福の歴史の歴史と現地
初詣で授与される「破魔矢」と酉の市で売られる「熊手」は、どちらも日本の正月を代表する縁起物です。その起源・意味・飾り方から、授与される名社まで詳しく解説します。
目次
MOKUJI
破魔矢の起源と歴史——弓矢が持つ魔除けの力
熊手の起源と歴史——福をかき込む縁起物
破魔矢・熊手の飾り方と処分方法
名社での授与体験——破魔矢・熊手をいただける場所
よくある質問
初詣や初市で目にする**破魔矢(はまや)熊手(くまで)**は、新年に邪気を払い幸福を招くための縁起物です。矢で魔を破り、熊手で福をかき集めるという象徴的な意味を持つ両者は、日本人の年始の習慣に深く根ざしています。本記事では、その起源から飾り方・処分方法まで丁寧に解説します。
生田神社(兵庫県神戸市)の破魔矢。白い矢羽根と金色の鏃が特徴的な正月の守り神
Tomomarusan / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0
破魔矢の起源と歴史——弓矢が持つ魔除けの力
弓矢による邪気払いの古代信仰
破魔矢の起源は、古代の弓射神事にあります。弓矢は神道において邪気を退ける力があるとされており、奈良時代の文献には「鳴弦(めいげん)」と呼ばれる儀式——弦を鳴らして邪気を払う行為——の記録が見られます。平安時代には宮中で「破魔弓(はまゆみ)」と呼ばれる儀式が男子の誕生時に行われており、「魔(ま)を破(は)る弓(ゆみ)」という意味を持っていました。
香取市(千葉県)の破魔矢・破魔弓。男児誕生の祝いに贈られる一式
Katorisi / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0
江戸時代——庶民に広まった正月行事
江戸時代に入ると、正月の「射的(いまつり)」の縁起物として、木製の矢が神社で頒布されるようになりました。この慣習が現在の「破魔矢」の直接的な起源です。特に鶴岡八幡宮では、源氏ゆかりの武門の神社として弓矢との縁が深く、正月の破魔矢授与が長く続いています。
現代の破魔矢の種類
現在神社で授与される破魔矢には様々な種類があります。
種類
特徴
一般授与矢
標準的な正月の破魔矢。白羽が多い
絵馬付き
矢の根元に絵馬が付いたタイプ
干支付き
その年の干支の飾りが付いたもの
特大授与矢
家内安全・厄除け用の大型のもの
熊手の起源と歴史——福をかき込む縁起物
農具から縁起物へ
熊手はもともと農作業に使う道具であり、稲や落ち葉をかき集めるために使われていました。この「かき集める」という動作が「福をかき集める」という縁起担ぎに転じ、商売繁盛・開運の縁起物として広まりました。
府中・大国魂神社の鷲神社酉の市(2024年11月)に並ぶ熊手。縁起物で飾られた「福熊手」
Fuchu / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0
酉の市と熊手——江戸の賑わい
熊手が縁起物として定着したのは、江戸時代の**「酉の市(とりのいち)」**です。毎年11月の酉の日に開かれるこの市は、浅草の鷲神社(あさくさ酉の宮)花園神社などで今でも盛大に開催されます。商人が商売繁盛を願って熊手を購入し、毎年一回り大きなものに買い替える習慣が生まれました。浅草酉の宮の酉の市は特に江戸時代から続く歴史を持ちます。
熊手の飾り物に込められた意味
熊手には様々な縁起物が飾り付けられており、それぞれに意味があります:
小判・千両箱:金運・商売繁盛
打ち出の小槌:望みを叶える
鶴亀:長寿・吉祥
宝船:七福神が乗る招福の船
海老:長寿(腰が曲がるまで長生き)
破魔矢・熊手の飾り方と処分方法
正しい飾り方
浅草・大鷲神社の酉の市(2013年11月)。関東最大の縁起市で、数十万人が訪れる東京の年末風物詩
Yoshikazu TAKADA from Tokyo, Japan / Wikimedia Commons, CC BY 2.0
破魔矢は以下の場所に飾るのが一般的です:
床の間・神棚の近く
玄関の上(邪気が入ってくる方向=外向き、または東・南向き)
高い位置に、矢先を上または外に向けて
熊手は:
神棚や商売をしている場所の高い位置に
福を逃がさないよう、かき込む向きを意識して飾る
毎年のものは前年のものと重ねて飾るのではなく、新しいものを前年より大きいサイズにする
古い破魔矢・熊手の処分方法
1年以上経過した破魔矢・熊手は、授与を受けた神社への返納が最も丁寧な方法です。1月中〜2月に行われる「どんど焼き(左義長)」への持参も正式な方法です。遠くて返納が難しい場合は、他の神社のお焚き上げに預けることも可能です。
名社での授与体験——破魔矢・熊手をいただける場所
花園神社(東京・新宿区)の夜景。山手線圏内最大の酉の市が開かれる、歌舞伎町に隣接する神社
Stephen Kelly from San Francisco, CA, USA / Wikimedia Commons, CC BY 2.0
以下の神社・寺院では、特に有名な破魔矢・熊手を授与しています。
スポット
特徴
浅草酉の宮(鷲神社)
11月の酉の市発祥地。日本最大規模の熊手市
花園神社
新宿の繁華街に建つ縁起市。芸能・商売の神として名高い
鶴岡八幡宮
武門の神社として弓矢との縁が深い。正月の破魔矢が有名
明治神宮
初詣参拝者数日本一。破魔矢の授与が年始に集中する
浅草寺
仲見世通りとセットで新年縁起物の買い物が楽しめる
年始に複数の神社・寺院を参拝し、破魔矢や熊手を授与していただく「縁起物巡礼」もおすすめです。
よくある質問
破魔矢と熊手、どちらが縁起が良いですか?
どちらが優れているということはなく、用途が異なります。破魔矢は「悪いものを寄せ付けない・邪気を払う」守護の縁起物。熊手は「積極的に福・商売繁盛・開運をかき集める」招福の縁起物です。家庭には破魔矢、店舗・事務所には熊手、という使い分けが一般的です。
熊手は毎年買い替えなければいけませんか?
酉の市の慣習では「毎年一回り大きな熊手に買い替える」のが縁起が良いとされています。ただし、厳密な義務ではありません。新しい熊手を買う際は前年の熊手を返納するのが正しい作法です。
破魔矢はどの方角に向けて飾ればいいですか?
一般的には「邪気が来る方角に向ける」考え方から、玄関の場合は外(または鬼門とされる北東)に向けて飾ります。神棚に置く場合は矢先を東または南に向けるとよいとされています。ただし地域や神社によって作法が異なる場合があるため、授与を受けた神社に確認するのが最も確実です。
最終更新: 2026年4月25日
── 了 ──
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