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夏越の祓と茅の輪くぐり——半年の穢れを祓う6月の神事の全て
6月30日に全国の神社で行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の罪・穢れを祓い清める日本最古の神事の一つです。茅の輪くぐりの意味・作法から参拝できる全国の名社まで解説します。
目次
MOKUJI
夏越の祓の起源——神代にまで遡る祓の歴史
茅の輪くぐりの意味と由来——スサノオの神話から
茅の輪くぐりの作法——正しいくぐり方
全国の夏越の祓——参拝できる名社
よくある質問
6月30日の夕暮れ時、全国の神社では大きな茅の輪が参道に設けられ、参拝者がその輪をくぐる光景が広がります。これが「夏越の祓(なごしのはらえ)」——上半年に知らず知らずのうちに積み重ねた罪・穢れを祓い清める、日本最古の神事の一つです。
神社境内に設置された茅の輪。チガヤを束ねて作られた大輪は、夏越の祓の時期に全国各地の神社で見られる。
Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / photo by ファイア
夏越の祓の起源——神代にまで遡る祓の歴史
「大祓詞(おおはらえのことば)」の成立
夏越の祓の根拠となる神事は、古事記・日本書紀の時代に遡ります。伊邪那岐命(イザナギノミコト)が黄泉の国から戻った後に行った**禊祓(みそぎはらえ)**が、日本の祓の原形とされています。「大祓詞(おおはらえのことば)」と呼ばれる祝詞(のりと)は、天武天皇の時代(7世紀後半)に現在の形に整えられたとされており、この詞を唱えることで罪穢れが祓われると信じられています。
夏越大祓における茅の輪くぐりの様子。参拝者が「左・右・左」の八の字を三回くぐり抜けることで、半年分の穢れを祓い清める。
Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / photo by あ四タ
「夏越の祓」と「年越の祓」——年2回の大祓
日本では古来、6月と12月の晦日(みそか)に大祓が行われます。6月の大祓が「夏越の祓(夏越大祓)」、12月の大祓が「年越の祓(年越大祓)」です。半年ごとに罪穢れを祓い、常に清い状態を保つという考え方が根底にあります。
この制度は律令国家体制の確立とともに国家行事として整備され、全国の国分寺・神社で行われるようになりました。現在も鶴岡八幡宮明治神宮をはじめとする全国の神社で夏越の大祓が盛大に執り行われています。
茅の輪くぐりの意味と由来——スサノオの神話から
蘇民将来(そみんしょうらい)の伝説
茅の輪くぐりの起源として広く知られるのが、蘇民将来の説話です。古事記・備後国風土記に記されたこの伝説によると、旅をしていた神(スサノオノミコトとも、牛頭天王とも)が蘇民将来という貧しい男の家に一夜の宿を借りました。蘇民将来が粗末ながらも誠心誠意もてなしたお礼として、神は「茅の輪を腰につけよ」と教え、その輪をつけた者は疫病から守られたといいます。
八坂神社(京都)に設置された特設の茅の輪。素戔嗚尊を祀る八坂神社の茅の輪は、蘇民将来伝承の聖地として特別な意義を持つ。
Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / photo by 京都新観光提言懇談会メンバー
この伝説から、茅の輪は疫病・穢れを退ける力を持つと信じられるようになり、神社の参道に大きな茅の輪を設けてくぐる行事として発展しました。
茅の輪の素材と意味
茅の輪に使われる「茅(かや)」はイネ科の草(ススキ・チガヤ等)です。茅は古来より邪気を払う力があるとされており、茅葺き屋根や注連縄にも使われてきました。輪の「丸い形」は無限・再生を象徴し、穢れを切り離すための「境界」の意味も持っています。
茅の輪くぐりの作法——正しいくぐり方
茅の輪のくぐり方
京都・中村軒の水無月。白い外郎(ういろう)の上に小豆をのせた三角形の和菓子で、6月30日に夏越の祓とともに食される京都の伝統。三角形は宮中の「氷室の氷」を象る。
Wikimedia Commons / CC0 1.0 (Public Domain) / photo by Kykk wiki
茅の輪のくぐり方には、一般的に**「∞字(8の字)に3回くぐる」**作法があります。具体的な手順は次の通りです:
順番
動作
方向
1回目
茅の輪をくぐる
正面からくぐり、左に回る
2回目
再びくぐる
正面からくぐり、右に回る
3回目
もう一度くぐる
正面からくぐり、左に回る
茅の輪をくぐる際に唱える言葉として、「水無月の夏越の祓する人は 千歳の命延ぶというなり」という和歌が知られています。唱えながらくぐることで、より丁寧に祓いを行うとされています。
人形(ひとがた)への罪穢れの移し
夏越の祓では、人形(ひとがた)と呼ばれる人の形をした紙に自分の名前と年齢を書き、体の各部分をなでて罪穢れを移してから、神社に納める形式もあります。神社によっては事前に人形を配布し、当日または事前に祓いの儀式が行われます。北野天満宮(→北野)上賀茂神社では、この人形神事が丁寧に行われています。
全国の夏越の祓——参拝できる名社
留辺蘂神社(北海道)の夏越大祓式。全国各地の神社で6月30日に執り行われる大祓式の様子。神職が大祓詞を奏上し、参拝者は紙の人形(ひとがた)に罪穢れを移して神社に納める。
Wikimedia Commons / CC0 1.0 (Public Domain) / photo by 田頭寛
全国各地の神社で夏越の祓が執り行われますが、特に有名な神社を紹介します。
スポット
夏越の祓の特徴
北野天満宮(北野)
学問の神・菅原道真を祀る。大茅の輪と人形神事で有名
八坂神社
7月の祇園祭との連続で夏の祓文化が発展
上賀茂神社
世界遺産。人形流しで有名な夏越の祓
鶴岡八幡宮
鎌倉幕府ゆかりの社。大祓の伝統が続く
明治神宮
都心の大社。多くの参拝者が茅の輪をくぐる
夏越の祓の参拝は、通常の参拝に加えて茅の輪くぐり・人形奉納を行います。6月30日前後の数日間、茅の輪が設置されている神社が多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
夏越の祓に参拝できなかった場合はどうすればいいですか?
夏越の祓に参拝できなかった場合でも、事前に人形を郵送で受け付けている神社もあります。また、大祓詞を自宅で唱えることも浄化の一形式と捉えられています。12月の年越の祓は通常通り参拝できる場合が多いため、年2回のサイクルの片方として次回参拝することも意味があります。
茅の輪くぐりは何回くぐればいいですか?
一般的には上記の∞字で3回くぐるのが標準ですが、神社によって作法が若干異なります。一部の神社では1回のみ、一部では唱え言葉の有無など独自の形式を持っています。参拝する神社の境内案内板や授与所で確認するのが最も確実です。
水無月(みなづき)という和菓子と夏越の祓の関係は?
「水無月」は6月30日の夏越の祓に食べる京都の伝統的な和菓子です。白い外郎(ういろう)の上に小豆をのせた三角形の菓子で、三角形は氷を模し、小豆は悪魔払いの意味を持つとされています。宮中では夏に氷を食べる習慣がありましたが、庶民はその代わりに氷を模した水無月を食べたのが起源とされています。夏越の祓の参拝後に京都の和菓子店で水無月を購入するのがおすすめです。
最終更新: 2026年4月25日
── 了 ──
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