天満宮は菅原道真1人の御霊を祀る専門の社であり、現在は学問の神としての性格が前面に出ている。御霊神社は複数の怨霊(御霊)を総祀りする社で、疫病退散・縁結び・鎮魂が中心的なご利益となる。
御霊信仰は「祟りを恐れる」だけでなく、「祟る御霊を適切に祀れば守護神になる」という積極的な発想が核心。現代でも御霊神社を参拝することは、怨霊への恐怖からではなく、歴史上の無念に寄り添う追悼行為として意味をもつ。
御霊信仰の疫病退散は現代医学とは別次元の信仰行為だが、「心の平静を祈る」「社会の安寧を願う」という精神的な意味では現代でも有効である。実際、2020年以降のパンデミック時に多くの御霊神社で特別祈願が行われた。
日本人が怨霊を神に変えてきた歴史は、苦しみと和解する文化の深さを示す。大阪・淡路町の御霊神社や奈良の御霊神社に足を運び、平安の宮廷が抱えた怨念と和解の物語に耳を傾けてほしい。御霊信仰の流れを汲む祇園社も、現代祭礼文化の源流として参拝する価値は高い。