大阪市阿倍野区阿倍野元町に鎮座する古社で、仁徳天皇の時代(5世紀前半)の創建と伝わる。祭神は伊邪那岐命・伊邪那美命・素盞嗚尊・応神天皇の四柱。平安時代に熊野詣の隆盛とともに整備された「熊野九十九王子」の一つ「阿倍王子」として京都から熊野へ向かう参詣者の休息・遥拝所となり、後鳥羽上皇の熊野御幸の時代には第二王子社として重要視された。明治末期の神社合祀政策により周辺の多くの王子社が廃絶する中、阿倍王子は奇跡的に旧地に残存しており、大阪府内に現存する「熊野九十九王子」としては唯一の王子社である。この歴史的価値により国の指定文化財ではないものの、熊野信仰史研究の重要地点とされる。安倍晴明神社を境外末社とし、阿倍野の地名発祥にも関わる古社として崇敬を集める。