摂津国八十八箇所霊場は江戸時代中期の文化年間(1804〜1818年)頃に現在の形に整備され、都市住民が弘法大師の霊徳に触れられる写し霊場として大坂市中で広く親しまれた。正圓寺が祀る聖天(歓喜天)信仰は平安時代に密教とともに日本へ伝わり、真言宗の秘仏として厳重に管理される特殊な信仰形態を持つ。聖天供の秘法・浴油護摩は修法が特に厳格で、一般には公開されない密教儀礼とされる。江戸時代には商都として繁栄した大坂において、商売繁盛・難病平癒・子授けを願う商人・市民の厚い信仰を集め、阿倍野の聖天様として広く知られるようになったと伝わる。正圓の名が示す「真の円満」という境地は、弘法大師が説いた即身成仏の境涯…