飛鳥山は、享保5年(1720年)に江戸幕府八代将軍・徳川吉宗が王子権現の社域に約270本の桜を植樹し、庶民に開放したことに始まる。それ以前から眺望の良い景勝地として知られていたとされるが、吉宗による整備によって江戸随一の花見の名所として広く親しまれるようになり、春には身分を問わず多くの人々が訪れた。幕末期には飛鳥山を詠んだ狂歌や浮世絵にも描かれ、庶民文化の象徴的な場となった。明治時代に入ると、実業家・渋沢栄一が明治12年(1879年)頃よりこの地に邸宅「曖依村荘」を構え、以後約40年にわたって居住した。渋沢はここを拠点に国内外の要人を迎え、約500の企業・団体の設立に関わるなど日本近代経済の礎…