広尾稲荷神社の創建年代は明らかでないが、江戸時代以前から広尾の地に鎮座していたと伝わる。宇迦之御魂神を祭神とし、商売繁盛・五穀豊穣の守護神として近隣住民の篤い信仰を集めてきたとされる。江戸時代には周辺に農村・町場が形成されるなかで、地域の鎮守として祭祀が営まれてきたと考えられる。明治期以降、東京の市街地化が進む中にあっても、広尾の氏神社として地域住民の拠り所であり続けた。拝殿天井に描かれた「墨龍図」は近代以降に奉納されたとされ、その力強い筆致が高く評価され、港区指定文化財の指定を受けている。現在も毎年2月の初午祭をはじめとする祭礼が継承され、近隣の広尾商店街とともに地域文化の核として機能してい…