本覚院は台東区上野公園に位置する天台宗寺院で、寛永寺の塔頭のひとつである。「本覚」は天台宗の根本教義を表す中核概念のひとつで、すべての衆生が本来から悟りの性質(仏性)を備えているという「本覚思想」を指す。この概念は平安時代に日本天台宗が発展させたもので、修行によって新たに悟りを得る「始覚」に対して、本来的・本質的な悟りを強調する。寛永寺の子院の中でも、「本覚」という院名はその宗派の思想的核心を体現する格式ある名称といえる。寛永寺が徳川幕府の精神的支柱として機能した江戸時代、本覚院は大名・旗本など武家層の帰依を受けながら法灯を守った。1868年の上野戦争の戦禍を経て存続し、現在も上野公園内で静か…