東漸院は台東区上野公園に位置する天台宗寺院で、寛永寺の塔頭のひとつである。「東漸」とは仏法が東方へ漸次広まっていくことを意味し、インドに始まった仏教が中国・朝鮮を経て日本へと東漸してきた歴史的過程を指す言葉でもある。寛永寺を創建した天海大僧正(1536〜1643)は、比叡山延暦寺を本山とする天台宗の教えを江戸(東方)の地に根付かせることを一大使命として創建に臨んだ。「東漸」の院名は、この天海の精神的ビジョン——仏法を東の都・江戸に広める使命——と深く共鳴する。江戸時代には幕府の庇護のもとで子院群とともに発展し、1868年の上野戦争後も存続して現在に至る。上野公園内に現存する子院のひとつとして、…