摂津国三島郡桜井の地に立地する宝幢寺は、浄土宗の宗祖・法然上人(1133〜1212年)の念仏の教えを奉じる寺院である。「宝幢(ほうどう)」とは仏の教えを広める旗(幢幡)を意味し、阿弥陀仏の光明と教えを象徴する寺号である。法然上人が1175年(承安5年)に専修念仏を提唱して以来、その教えは近畿各地の農村部にも根付いていった。桜井は1336年(建武3年)の「桜井の別れ」で知られる歴史の地であり、この地に立つ宝幢寺は、武士から農民まで広く受け入れられた浄土宗の教えとともに地域の菩提寺として歩んできた。江戸時代には浄土宗の寺院網の一端を担い、桜井の住民の冥福を祈り続けた。