神奈川県横浜市戸塚区上倉田町に佇む浄土宗の寺院で、山号を澤泉山・院号を西向院と称し、正式には澤泉山西向院蔵田寺という。本尊は阿弥陀如来で、元亀元年(1570年)に法誉祖道上人が草庵を結んで開山した。
境内には旧鎌倉郡三十三箇所観音霊場の第21番札所として「誘引堂(ゆういんどう)」と呼ばれる観音堂があり、千手観音像を安置する。この千手観音は奈良時代の僧・行基の作と伝わり、小田原北条氏の家臣・堀内誘引之助が守護仏として当寺に寄進したという由緒を持つ。堂の通称「誘引堂」は寄進者の名に因むもので、戦国武将の信仰の篤さを今に伝える。弁天堂は「一心堂」と称する別堂として独立し、境内の一角に静かに佇む。
江戸時代後期、歌僧として知られる大雲が住職を務めた時期には、文人・歌人が蔵田寺に多く出入りし、上倉田の地が文学的な交流の場となった。江戸後期の国学者・橘千陰(たちばなちかげ, 1734〜1808)の…