那波加神社(なはかじんじゃ)は滋賀県大津市苗鹿(のうか)に鎮座する古社で、「苗鹿明神(のうかみょうじん)」の通称で親しまれる。主祭神は天太玉命(あめのふとだまのみこと)で、五穀豊穣・農耕守護の神として古くから崇敬される。天智天皇の御代(7世紀後半)の創建と伝わり、平安時代の『延喜式』神名帳に記載される式内社。神仏霊場巡拝の道第130番。境内は比叡山東麓の閑静な山裾にあり、JR湖西線「おごと温泉」駅近く、苗鹿の田園地帯に佇む。境内社や苗鹿の地名の由来となった社伝に伴う祭祀が今も続き、地域の鎮守として地元住民の篤い信仰を集めている。比叡山延暦寺・日吉大社・三井寺など近江の有力寺社のネットワークの一翼を担ってきた。
那波加神社の創建は、天智天皇の時代(662-672年頃)と伝わる古社である。社伝によれば、当地の住民が稲作を始めた頃、鹿が稲苗を背負って訪れたという「苗鹿」の故事から「苗鹿明神」と称えられるようになり、天太玉命を祀る神社として鎮座したとされる。古代から比叡山東麓の農耕地帯の守護神として崇敬を集め、平安時代の『延喜式』神名帳に「滋賀郡 那波加神社」として記載される式内社の格式を有する。中世には日吉大社・延暦寺との結びつきが強く、比叡山系の信仰圏の一部として機能した。江戸時代には地域の村々の鎮守として庶民信仰を集め、毎年の例祭は近隣の農村を巻き込んだ地域行事となった。明治の近代社格制度では村社に列…