閻魔前町地蔵堂は、千本通沿いに位置する地蔵堂で、引接寺(千本閻魔堂)の門前に建つ。千本通はもとより平安京の基幹道路の一つであり、その北端一帯はかつて「蓮台野」と呼ばれる葬送の地で、平安時代(794年〜)以来、京の人々の遺体が運ばれた野辺送りの道として知られてきた。引接寺自体は寛仁年間(1017〜1021年頃)に定覚上人によって創建されたと伝わり、地蔵堂もその門前信仰と深く結びつきながら成立したとされる。中世以降、地蔵菩薩は冥界と現世をつなぐ存在として庶民の篤い信仰を集め、墓地への入口にあたるこの地に地蔵を祀る習俗が根付いたと考えられる。近世には千本通の町衆文化とともに地蔵信仰が醸成され、近代以…