正安寺は真言宗の古刹として豊中市に根ざした歴史を持ち、その創建は中世に遡ると伝わる。服部天神宮の門前町として栄えた服部の地に近く、周辺には古くから多くの寺社が集積し信仰圏を形成していた。「正安」の名は鎌倉時代の元号「正安」(1299〜1302年)に由来するとも伝えられ、この地域の信仰の歴史的な深みを物語る。戦国の乱を経て江戸時代に入ると社会の安定とともに庶民信仰が盛んになり、やがて摂津国八十八箇所霊場が整備され、正安寺は第43番札所として遍路の道に組み込まれた。四国遍路を摂津に「写した」この巡礼路は18世紀中頃までに定着し、心の平安を求める参詣者が代々この寺を訪れてきた。