太平寺は天王寺区夕陽丘町に位置する曹洞宗の寺院である。寺号の「太平」は世の平和・安寧を願う意味を持ち、民衆の平穏な暮らしへの祈りを体現している。曹洞宗の開祖・道元禅師は13世紀に宋に渡り、如浄禅師のもとで正伝の仏法を得て帰朝し、建長5年(1253年)に越前大仏寺(後の永平寺)を開いた。夕陽丘は大阪市内でも古くから寺院が密集する寺町の一角であり、四天王寺の影響下に多くの宗派の寺院が形成された。太平寺も近世にこの地域の宗教的環境の中で成立し、地域住民の菩提寺として葬儀や法要、坐禅会などを通じて信仰の場を提供してきた。明治維新後も曹洞宗の一員として大本山永平寺・総持寺のもとで法脈を継いでいる。