天澤寺は、南北朝時代の1350年(観応元年)頃、美濃守護を務めた土岐頼兼によって創建されたと伝わる禅宗寺院である。土岐氏は中世に美濃国を長く支配した有力守護大名であり、同氏の庇護のもと、天澤寺は室町時代を通じて美濃国内有数の禅の道場として発展したとされる。多くの学僧が集い、禅の修学と布教の拠点として機能したと伝えられる。戦国時代には美濃国の争乱に巻き込まれた可能性があるが、詳細は定かでない。江戸時代には地域の菩提寺として寺勢を維持し、茅葺き屋根の本堂をはじめとする伽藍が整えられたとされる。近代以降も法灯を絶やすことなく現代に至り、岐阜県指定文化財の仏像・絵画を複数所蔵する寺院として、中世仏教美…