伊東市に所在する東林寺は、源頼朝の愛人であった八重姫が入水したと伝わる悲恋の地として知られる寺院である。頼朝との間に千鶴丸をもうけたものの、父・伊東祐親に引き裂かれ、千鶴丸も海に沈められた八重姫は深い絶望の中でこの地で命を絶ったと伝えられる。境内には八重姫を供養する石碑や墓が残り、悲劇的な恋の記憶を静かに伝えている。寺院は八重姫の菩提を弔うとともに、無念の死を遂げた人々の魂を慰める場として機能してきた。伊東の歴史を語るうえで欠かせない場所であり、源平時代の庶民・女性の悲劇を伝える貴重な史跡でもある。毎年の法要では八重姫の霊を慰める行事が行われ、地域の人々によって大切に守られている。