増善寺は、静岡市郊外の慈悲尾に位置する曹洞宗の寺院である。創建年代は定かではないが、天文年間(1532〜1555年)に今川氏の庇護を受けて開かれたと伝わる。戦国時代、今川氏は駿河・遠江・三河を支配する東海最大の戦国大名として隆盛を極め、当寺はその今川家の菩提寺としての格式を持つとされる。永禄3年(1560年)、今川義元は尾張侵攻の途上に桶狭間の戦いで織田信長の奇襲を受け討死した。「東海一の弓取り」と称された義元の首は、その後京都から返還され、当寺に葬られたとの伝承が今に残る。境内に設けられた義元の首塚は、今川氏の栄華と悲劇の最期を現代に伝える史跡として広く知られる。江戸時代以降も寺院としての法…