後白河法皇は今様を愛するあまり、夜通し歌い続けることもありました。当然、喉を酷使するため声が嗄れてしまいます。
しかしそれを気にせず歌い続けたと伝わります。周囲の人々からは「法皇様、お声が……」と心配されることもあったでしょう。
その情熱の成果が「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」という歌謡集です。今様を千余首集めた大著で、当時の庶民の生活・感情・信仰がリアルに記録されています。
中でも有名な一節は「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけむ、遊ぶ子供の声聞けば、我が身さへこそゆるがるれ」。
「子どもたちは遊ぶために生まれたようだ。その声を聞くと、大人のわたしも体が揺れ動く」という意味の歌です。遊びや楽しみへの純粋な喜びを謳ったこの歌は、平安末期という激動の時代の人々の感情をリアルに伝えています。