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長昌寺と直木三十五——直木賞の名祖が眠る海辺の禅寺と直書き御朱印
横浜市金沢区富岡の長昌寺は、直木賞の名祖・直木三十五が「海の見える禅宗の墓」を望んで眠る臨済宗の古刹。金沢七福神の布袋尊を祀り、住職が一枚ずつ手で書く直書きの御朱印に心を動かされる参拝者も多い。直木三十五の生涯と墓所の由来、参拝の見どころを案内する。
目次
MOKUJI
長昌寺とはどんなお寺か
直木賞の名を遺した作家・直木三十五が眠る
参拝の見どころと住職直書きの御朱印
長昌寺へのアクセスとあわせて巡りたい金沢の古社寺
よくある質問
結論から言えば、横浜市金沢区富岡の長昌寺は、文学賞「直木賞」の名のもととなった作家・**直木三十五(なおき・さんじゅうご)**が眠る禅寺です。海の見える墓を望んだ本人の遺志がかなえられたこの寺は、金沢七福神の布袋尊を祀る札所でもあり、住職が一枚ずつ筆で書く「直書き」の御朱印に心を動かされる参拝者が後を絶ちません。
長昌寺の本堂——緑瓦をいただく臨済宗建長寺派・富岡山長昌寺の伽藍
Photo by あきとし。 / Toku
長昌寺とはどんなお寺か
富岡山長昌寺——臨済宗建長寺派の古刹
長昌寺(ちょうしょうじ)は、神奈川県横浜市金沢区富岡東にある臨済宗建長寺派の寺院です。山号を「富岡山」といい、本山は鎌倉五山第一位の建長寺。創建年代ははっきりしませんが、柳下豊後守を開基と伝え、中世から近世にかけて富岡の地域信仰の中核を担ってきた古刹です。本尊は阿弥陀如来で、かつて盗賊に奪われた本尊が祟りによって戻されたという伝説も残ります。
京急本線の富岡駅から歩いて数分、住宅地の一角に静かな境内が開けます。緑の瓦をいただいた本堂と手入れの行き届いた庭が、訪れる人を迎えてくれます。
金沢七福神「布袋尊」の札所
長昌寺は金沢七福神めぐりの「布袋尊(ほていそん)」の札所としても親しまれています。布袋尊は七福神のなかで唯一、実在の人物(中国・唐代の禅僧、契此〔かいし〕)を起源とする神で、開運・縁結び・財富のご利益で知られます。正月の七福神めぐりでは、瀬戸神社や周辺の社寺とあわせて参拝する人で賑わいます。
「長昌寺」の寺号標に寄り添う愛らしい狸の石像——門前で参拝者を迎える
Photo by あきとし。 / Toku
門前には、思わず笑みがこぼれる愛らしい狸の石像が「長昌寺」の寺号標に寄り添うように据えられています。禅寺の凛とした空気のなかに、こうした親しみやすさが同居しているのも、地域に根づいたこの寺ならではの魅力です。
直木賞の名を遺した作家・直木三十五が眠る
直木三十五とはどんな人物か
**直木三十五(本名・植村宗一、1891〜1934年)**は、大阪に生まれ、早稲田大学英文科に学んだのち、出版・映画製作などを経て大衆小説の世界で名を成した作家です。代表作『南国太平記』などで時代小説・歴史小説の人気を確立し、大衆文学を芸術の域へ引き上げた立役者の一人とされます。
直木三十五(植村宗一、1891〜1934)——直木賞の名のもととなった大衆小説家
Wikimedia Commons / Public Domain
1934年(昭和9年)、43歳の若さで世を去ると、その翌年、親友であった文藝春秋の菊池寛が彼の功績をたたえて**「直木賞」**を創設しました。芥川賞と並ぶ日本でもっとも権威ある文学賞の名に、彼の筆名は今も生き続けています。
「海の見える墓」への改葬
直木三十五の墓は、はじめ同じ富岡の慶珊寺の墓地にありました。しかし「禅宗の、海の見える墓地に眠りたい」という本人の希望にそって、のちに長昌寺へと移され、現在の地に改葬されています。富岡の高台から相模の海をのぞむこの墓所は、まさに作家の願いをかたちにした場所だといえるでしょう。
境内の案内板「直木三十五墓所」——直木賞の名祖が眠ることを伝える
Photo by あきとし。 / Toku
境内には、直木賞作家・胡桃沢耕史の墓も近くに並びます。文学を志す人にとって、長昌寺は静かな巡礼の地でもあるのです。
できごと
1891年
大阪に生まれる(本名・植村宗一)
1934年
43歳で死去
1935年
菊池寛が「直木賞」を創設
1982年
墓が現在の長昌寺の地に改葬される
参拝の見どころと住職直書きの御朱印
富岡山の扁額と本堂
本堂の向拝には「富岡山」と記された扁額が掲げられ、長い歳月を重ねた木組みが落ち着いた風格を漂わせています。順路に沿って境内をめぐれば、阿弥陀如来をまつる本堂、布袋尊、そして直木三十五の墓所へと、ひとつながりの参拝ができます。
本堂向拝に掲げられた「富岡山」の扁額——長昌寺の山号を伝える
Photo by あきとし。 / Toku
住職直書きの御朱印に感動して
長昌寺の参拝で、ぜひ心にとどめてほしいのが御朱印です。あらかじめ書き置かれた紙ではなく、**住職がその場で一枚ずつ筆を運ぶ「直書き」**の御朱印をいただけることがあります。墨の香りとともに、目の前で文字がかたちづくられていく時間は、何にも代えがたいもの。「住職さんが直に書いてくださって、思わず胸が熱くなった」という声もあるほどで、この一枚のために足を運ぶ価値があります。御朱印は寺務の都合で対応が変わることもあるため、いただける時間や初穂料は参拝時に確認すると安心です。
長昌寺へのアクセスとあわせて巡りたい金沢の古社寺
長昌寺へは、京急本線「富岡」駅から徒歩約5分。富岡の高台に位置し、参拝とあわせて金沢区の歴史散策を楽しめます。
慶珊寺——直木三十五の墓がはじめに置かれた富岡の寺。あわせて訪ねれば、改葬の物語をより深く味わえます。
瀬戸神社——源頼朝が創建した金沢の海上守護社。金沢七福神めぐりの拠点のひとつ。
富岡八幡宮——富岡の鎮守。「波除八幡」とも呼ばれ、地域の信仰を集めてきた古社。
建長寺——長昌寺の本山にあたる鎌倉五山第一位の大禅刹。禅の源流をたどる旅に。
御朱印を集めながら、海辺の禅寺と文学者の足跡をたどる——長昌寺は、そんな静かな一日の起点にふさわしいお寺です。
よくある質問
長昌寺はどこにありますか?
神奈川県横浜市金沢区富岡東にあり、京急本線「富岡」駅から徒歩約5分です。富岡の高台に位置し、金沢七福神めぐりの札所のひとつです。
直木三十五のお墓は長昌寺にあるのですか?
はい。直木三十五は「海の見える禅宗の墓」を望み、はじめ富岡の慶珊寺にあった墓がのちに長昌寺へ改葬されました。境内には直木賞作家・胡桃沢耕史の墓も並びます。
御朱印はいただけますか?
長昌寺では金沢七福神・布袋尊などの御朱印を授与しています。住職が直書きしてくださる場合もありますが、寺務の都合で対応が変わることがあるため、参拝時に時間や初穂料を確認するとよいでしょう。
最終更新日:2026年6月4日
── 了 ──
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