大日如来を本尊・主要尊として奉安する寺院は、真言宗の諸山を中心に全国に広がります。主な参拝地とその特色を以下に示します。
東寺(教王護国寺)(京都市南区)——空海が嵯峨天皇から下賜され、密教寺院として整えた場所です。講堂の「立体曼荼羅」は、胎蔵界・金剛界両曼荼羅を仏像群で三次元に表現した唯一無二の空間。大日如来を中心に、五菩薩・五大明王・五大天が同心円状に並びます。
金剛峯寺(高野山)(和歌山県高野町)——空海が816年に開創した真言密教の総本山。標高約860メートルの霊山全体が「一山境内地」であり、根本大塔内の四柱の仏像と壁面の絵画が立体的な金剛界曼荼羅を構成します。大日如来の前に立つとき、空海が「ここに宇宙を置く」と念じた静寂が伝わります。
室生寺(奈良県宇陀市)——「女人高野」として知られる古刹。国宝の金堂には、胎蔵界大日如来を中心とした5体の仏像群が安置されます。檜皮葺の五重塔とともに、山深い自然の中で「宇宙の母胎」という胎蔵界の概念を肌で感じられる場所です。
醍醐寺(京都市伏見区)——豊臣秀吉が花見の宴を催したことでも知られますが、本来は真言密教の古刹。薬師如来を本尊とする金堂をはじめ、両界曼荼羅を宝蔵する清滝宮や霊宝館に密教美術の精華が集まります。
成田山新勝寺(千葉県成田市)——真言宗智山派の大本山。本尊は不動明王ですが、不動明王は大日如来の「教令輪身(きょうりょうりんしん)」——慈悲の命令を下す厳しい姿——とされ、大日如来の教えの別の顕れです。大本堂の壮麗な参拝空間に、年間1,000万人近い参拝者が訪れます。