箱館戦争の終結は、明治新政府にとって国内統一の完成を意味した。旧幕府勢力の最後の拠点が北海道の五稜郭であったという事実は、北海道という土地が「新しい日本」の実験場として明治政府に認識された経緯と重なる。箱館戦争終結後、明治二年(1869年)に開拓使が設置され、北海道の近代化・開拓が本格的に始動した。
榎本武揚はその後、北海道開拓に関わる外交交渉(ロシアとの樺太・千島交換条約)において重要な役割を果たした。彼の外交的才能と語学力(オランダ語・ロシア語)は、かつての「朝敵」を明治政府の有能な外交官として再生させた。これは、明治維新という転換期において、個人の能力が政治的立場の転換を可能にした好例として歴史家の関心を集める。
五稜郭を訪れることは、戊辰戦争という内戦の終結と、明治という新しい時代の出発点を同時に体験することである。幕末から明治への転換を「革命」と呼ぶか「維新」と呼ぶかという解釈の問題も含めて、日本近代史の入口に立つ感覚を覚えるスポットである。