道福寺の創建年代は明らかでないが、江戸時代以前にさかのぼると伝わる日蓮宗の寺院である。日蓮宗は鎌倉時代に日蓮聖人によって開かれ、室町・戦国期を経て関東各地へ広く普及した。江戸時代に入ると、神田川沿いの浅草橋・蔵前一帯は問屋・商家が集積する商業地として発展し、当寺は地域の商人・職人層の信仰を集める法華経の拠点として機能してきたとされる。柳橋花街が隆盛した18〜19世紀には、花街や問屋街の人々の帰依も篤かったと伝わる。明治維新後の近代化や関東大震災(1923年)、第二次世界大戦の戦災を経ながらも法灯を守り続け、現在も台東区浅草橋の下町景観の一角を担う静かな古刹として今日に至る。