道後温泉の起源は神代に遡るとされ、日本書紀や万葉集にも「にきたつの湯」として登場する、日本最古級の温泉の一つである。古代には神話の神々が湯治に訪れたとも伝わり、聖徳太子も道後に行幸したとの記録が残る。奈良・平安時代には皇族や貴族に愛された名湯として知られ、中世以降も伊予の地を治めた歴代領主により保護・整備が続けられた。江戸時代には松山藩の管理下に置かれ、庶民にも広く開放されて繁栄した。近代に入り、明治27年(1894年)に初代松山市長・伊藤義兵衛の尽力により三層楼の道後温泉本館が建立され、後に国の重要文化財に指定された。明治期には文人・夏目漱石が松山中学赴任中に逗留し、小説『坊っちゃん』の舞台…