天守寺は、大同年間(806〜810年頃)に弘法大師空海が四国巡錫の折に創建したと伝わる真言宗豊山派の古刹である。空海が各地に霊場を開いた時期と符合し、寺伝では大師自ら本尊を安置したとされる。中世には松山周辺の豪族や武家の庇護を受けたと考えられるが、詳細な記録は伝わっていない。近世、松山藩が成立すると城下の仏教文化が整備され、当寺もその影響下で地域信仰の拠点として維持されたとみられる。四国八十八箇所霊場の番外札所として位置づけられ、遍路巡礼者が立ち寄る寺院としても広く知られるようになった。近代以降も真言宗の修行道場・地域の祈願所として機能し続け、境内には歴代の信者が奉納した石仏・石塔が数多く並ぶ…