荒川区西日暮里にある「日ぐらしの富士見坂」として江戸時代から知られた眺望の名所。江戸市中にあった16ヵ所の富士見坂のうち、長らく山手地区で唯一自然の地平線の彼方に富士山の姿を望むことができた坂として、近代まで「富士見坂」の名を体現する貴重な場所であった。歌川広重の『名所江戸百景』にも描かれ、坂上からは筑波山・秩父連山・丹沢山地・富士山が一望でき、江戸庶民の絶景スポットとして愛された。坂の上には諏方神社・浄光寺(雪見寺)・修性院・青雲寺などの寺社が並び、眺望と信仰が結びついた江戸の行楽地「日ぐらしの里」の中心であった。近年は高層マンション建設により富士山の直接眺望は失われたが、江戸期の眺望文化を今に伝える貴重な都市史跡として荒川区の登録文化財に指定されている。諏訪台通りと交差する坂道で、日暮里・谷中散策の起点。