徳川慶喜は1837(天保8)年、水戸徳川家に生まれ、1866(慶応2)年に江戸幕府第15代将軍に就任した。1867(慶応3)年に大政奉還を断行、翌1868年には江戸城の無血開城を実現し、260年余にわたる徳川幕府の歴史を平和裏に終結させた。維新後は静岡に謹慎し、長らく政治の表舞台から退いていたが、1897(明治30)年に赦免を受けて東京へ移り、1902(明治35)年には公爵の爵位を授与されて貴族院議員に列せられた。1913(大正2)年に76歳で薨去すると、本人の遺志に従い神道式の葬礼が執り行われ、谷中霊園に円墳様式の墓所が造営された。これは歴代将軍が増上寺・寛永寺に葬られてきた慣例とは異なる、…