自性院は台東区谷中に所在する新義真言宗の寺院である。「自性」とは仏教哲学における「スヴァバーヴァ(自己の本質・本性)」の概念で、真言密教においては「即身成仏」の理論と結びつき、人間が本来持つ仏性(如来蔵)に気づき覚醒することを意味する。覚鑁(興教大師)の新義真言宗は阿弥陀如来への信仰と真言密教の修法を組み合わせ、より広い衆生の救済を目指した。谷中は江戸時代の明暦の大火以後に寺院が集積した地域で、現在も100を超える寺院が残る。自性院はその谷中の寺院群の一つとして、密教の教えに基づく修行・祈願の場を提供し続けてきた。谷根千の下町文化の中で、参拝者が自己の仏性に気づく静かな道場として今日も機能して…