海宝院の創建年代は明らかでないが、鎌倉時代から続く仏教文化圏である逗子・沼間地域において、中世以前より信仰の場として成立していたと伝わる。寺の歴史を示す最も重要な遺品が、応永10年(1403年)銘を持つ銅鐘である。この銅鐘は室町時代初期に鋳造されたもので、当時の高度な金属工芸技術を伝える貴重な文化財として現在も寺に所蔵される。中世においては、神武寺・光照寺とともに沼間地域の信仰圏を形成し、地域住民の精神的支柱としての役割を担ってきたとされる。近世以降も地域の法要や年中行事を執り行う寺院として継続し、沼間の人々の生活と信仰に深く根ざした存在であり続けた。明治期の神仏分離令以降も廃絶することなく法…