船橋市西船6丁目、京成西船駅近くに現存する古井戸。船橋市指定文化財(記念物・史跡、昭和40年〔1965年〕3月17日指定)。「葛飾明神御手洗の井」の異名を持ち、平忠常の父・平忠頼の産湯を汲んだという伝説から少なくとも平安末期には「名水」として知られていた。鎌倉時代から下総の名泉として旅人に愛され、「水脈が富士山まで通じる」「どんな日照りにも涸れない」「マラリアに効く」など数々の俗信を生んだ。文化9年(1812年)、江戸の狂歌師・蜀山人こと大田南畝が撰した「葛羅之井」の銘文を刻んだ碑が立ち、近世文人文化の痕跡を今に伝える。戦後は永井荷風が随筆『葛飾土産』で紹介したことで再び注目を集めた。近接する葛飾神社・勝間田公園と合わせて、下総国葛飾郡の古代〜中世〜近世の水辺文化を物語る貴重な史跡群。JR西船橋駅から北西へ徒歩約15分。