弘道館は、水戸藩9代藩主徳川斉昭が天保12年(1841年)に創設した藩校である。斉昭は水戸学の精神を体系化した「弘道館記」を著し、文武両道を教育の根幹に据えた。儒学・国学・医学・天文学・兵学・武道など多岐にわたる学問・武芸が教授され、当時としては日本最大級の規模を誇った。藤田東湖・会沢正志斎ら幕末水戸学を代表する思想家もここで教鞭をとり、尊王攘夷運動の思想的基盤を形成した。元治元年(1864年)の天狗党の乱では弘道館周辺でも戦闘が生じ、現存する建物には当時の弾痕が残る。明治維新後は一時学校としての機能を失ったが、正庁・至善堂をはじめとする主要建築は保存され、昭和39年(1964年)に国の特別史…