安祥寺は嘉祥元年(848年)、仁明天皇の女御・藤原順子(太皇太后)の発願により、唐から帰国した密教僧・恵運によって開創された真言宗の寺院である。山号を吉祥山と称し、創建時は上寺・下寺からなる壮大な伽藍を有し、皇室ゆかりの寺院として隆盛を誇ったとされる。しかし中世に入ると次第に衰微し、上寺は廃絶して現在はその遺構を留めない。下寺の一部のみが法灯を継ぎ、今日に至る。近世以降も規模は縮小したまま推移したが、創建期に造立された本尊・十一面観音立像(平安時代前期・一木造)をはじめとする密教美術の遺品が伝来し、国の重要文化財に指定されている。近代以降は長らく一般への公開が行われていなかったが、近年になって…