上賀茂神社の境外摂社で、古くから賀茂氏の信仰と深い関わりを持つ古社である。5月上旬に咲く大田ノ沢のカキツバタは国の天然記念物に指定されており、約25,000株が一斉に咲き誇る景色は京都の初夏を代表する風物詩である。藤原俊成が「神山や大田の沢のかきつばた ふかきたのみは色にみゆらむ」と詠んだ平安時代からの名所である。沢に自生するカキツバタは野生のもので、千年以上前から変わらぬ姿を見せている。上賀茂神社の北に位置し、カキツバタの季節には多くの花見客が訪れる。地元では「大田の沢」と呼ばれ、上賀茂の自然と信仰が一体となった貴重な景観を形成している。
太田神社は上賀茂神社(賀茂別雷神社)の境外摂社であり、古代より賀茂氏の信仰と深く結びついた古社である。創建年代は明らかでないが、賀茂氏が京都盆地北部に勢力を張っていた古代にさかのぼると伝わる。平安時代には既に著名な歌枕の地として知られており、12世紀の歌人・藤原俊成が「神山や大田の沢のかきつばた ふかきたのみは色にみゆらむ」と詠んだことにより、大田ノ沢のカキツバタは広く世に知られるようになった。中世以降も上賀茂神社の摂社として祭祀が継承され、賀茂の地の自然と信仰が一体となった景観が守られてきた。近世においても社地および沢の景観は大きく損なわれることなく維持されたとされる。近代以降、大田ノ沢に自…